主人が4台玉突き事故に巻き込まれた話。

仕事中、突然わたしの携帯に病院から電話がかかってきたのは今から5年ほど前のこと。
「〇〇さんの奥様でいらっしゃいますか?旦那様が事故に遭われて今、〇〇病院に搬送されました」。
もしかすると電話の相手は看護師さんではなく警察の方だったかもしれない。そのくらい記憶があやふやなのは、その電話を受け取ったときのわたしはあまりにパニック状態だったから。
そして咄嗟に聞いたのは「主人は加害者なのでしょうか?」。
大きな怪我はないとのことだが、もしも主人が加害者になってしまった……誰かの命を奪ってしまったなら……と大きな不安が襲ってきた。
そして返事は「いいえ、ご主人は巻き込まれてしまった方です」。

身内が事故に遭うのは初めての経験だった。事故は突然起こるというけれど、実際に起こればこんなにも混乱するだなんて。

頭を強く打ち鞭打ちの症状があるだけで、大きな怪我はなく、今〇〇警察署にいるから迎えにきて欲しいと連絡が来るまで1時間ほどあっただろか。
迎えに行くと、コルセットをつけた主人は椅子にぐったりと横たわっていた。
警察から状況などを聞き、今後何かあれば連絡をしますとのことだった。

翌日、主人の容態が落ち着き、その当時の様子などを聞き驚いた。
今回の事故は4台の玉突き事故で、主人は前から2台目。信号で止まると後ろから追突され、4台目の車がまた突っ込むという2度の大きな衝撃を受けたという。
幸いにも主人の車はボディーが頑丈で、大きな外傷なく済んだが、後ろの車に乗っていた人は頭から血を流すほどの大怪我だったそうだ。
帰宅途中での事故は、3台目の人の不注意が原因だった。

驚くのはこの後のことだ。主人は事故のショックと衝撃により、駆けつけた救急車で色々と質問をされるも冷静に答えられず「わからないとしか言えかなった」という。
すぐに病院へ向かおうとする救急隊員に向かって、なんと3台目の乗り手が「その病院は家から遠いから困る!ここの病院にしてくれ!」とごねたという。そのせいで何十分も時間をロスし、結局病院へつき処置してもらうまでにかなり時間がかかってしまったというのだ。
主人に向かって「この病院だとあなたも遠くなるから困りますよね?!」などと言ってきたという。
嫁として、この件については流石に怒りが込み上げた。
人を怪我させておいて、自分のことばかりを考えるだなんて許せない。

その後も「あなたが急ブレーキを踏んだせいだ」などと言ってくる始末。
現場検証の末、ブレーキ痕が見つからなかったため、警察と車の保険会社にきちんと相談をしながら間に入ってもらい、100対0で主人の治療費や車の修理費を出してもらうことができた。
あまりに相手がごねるのならば弁護士への相談も考えたが、100対0の場合、0側だと弁護士はつけられないと聞いたため、今回は自分たちと保険会社さん、あとは知り合いなどと相談しながらなんとか乗り越えたが、やはりお金だけの問題ではなく、気持ちの面でスッキリしない出来事だった。

今回のことで思ったのは、どれだけ自分が気をつけていても事故を100%防ぐのは難しいということだった。
加害者になる可能性だってある。こちらが悪くなくても相手がごねてこちらが損をすることもある。
なのでこれを機に、車保険に弁護士費用がきちんと含まれたプランにしているかどうかを改めて確認するきっかけになった。
オプションの場合もあるので、車に乗る人はぜひきちんと確認して欲しいと思う。